《MUMEI》

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亜美が大人しくなったのを確認してから、わたしは中沢君を全身全霊で睨み付ける。



わたしのことは兎も角として、

元治のことまで悪く言われるのは、どうしても許せなかった。



わたしの鋭い視線に、中沢君は同じように睨み付けてきたが、その内忌々しそうに舌打ちすると、「ウゼェなぁッ!」と低い声で唸り、わたしから目を逸らした。


わたしは深いため息をついて、それから亜美に、「先帰るね…」と囁き、同窓会の会費を彼女に預けて入口のドアへ向かった。



―――その、わたしの背中に、


懲りもなく、中沢君の苛立った声が、飛んできた。



「消えちまえ!」



…えぇ、そうね。


アンタが言うように、

わたしも、出来れば消えてしまいたい。


だって、

そうすれば、


色々と面倒なことに、頭を悩まさなくてすむもの。



あぁ、本当に、



わたしなんて、

跡形もなく、消えてしまえばいいのに…。



ぼんやりと、そんなことを考えながら、わたしはお店の扉を開き、
その外に広がる、真っ黒な夜の闇の中へと、独り、足を踏み出した。



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