《MUMEI》
将貴の回想
キーンコーンカーンコーン………


将貴が後方の扉に手を掛けた途端、
予鈴が鳴った。


いいや、このままばっくれよう。


だがふとした拍子に昨日の光景が浮かぶ。


―――――――――――
―――――――――

―――――――

―――――

―――……………


「将貴ぃ〜」


「なんだ?」


いつものように将貴は、
自宅で真理香と飲んでいた。


酔った真理香は将貴の首に絡み付く。


「明日、早速転校するんでしょ〜?」


「ああ、そうみたいだ。

梧城さんが前から、
そのつもりで転校手続きしてたしな。」


「そうなの〜?

フフフ、これで何回目ぇ?」


「知るか、そんなこと数えたこともねぇよ。

ちょ、やめろ。」


首に絡み付いたまま、
将貴の左耳を甘噛みする真理香。


「耳弱いでしょ〜?」


酔った真理香は本当に危ない。

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