《MUMEI》 この森は本当に庭なのか……。 静かな森だ。木々は壁のように日光を遮断している。 「夜は野犬が出て来る……」 貼紙を読みながら震えた。 早くボールを探しに行かなければ。 枝が無気味に笑っている。 たしか、一つだけボールの飛ぶ方向を見た。 その方向に走ると……またしても庭とは思えない情景が。 大木の根を登る足先から小石がぱらぱらと落ちて流れた、危うく、その小石が自分になるところだった。 谷底がぼくを待ち構えていたのだ。 前へ |次へ |
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