《MUMEI》
・・・・
 戦士としての誇りか、アランはファースが立ち上がるのをただただ待ち続けていた。相手を正面から斬ることこそが戦士のあるべき姿と考えたのだ。
 ファースの双眸を覗き込むが、何も伝わってこなければ、何も見えはしない。
 「君は、自分の快楽のために多くの罪無き人を殺めた。それですら許されない大罪だというのに、あろうことか君はそれのみに飽き足らず家族である彼女たち二人をも危険に晒した。
 一緒に暮らしている、ただそれだけのことで無実の二人は、君の愚かな行いの片棒を担いだと決めつけられ処刑台にまで上げられたんだ。
 どうしてだ、どうして彼女たちを巻き込んだ」
 相手を読めない焦りがアランも知らぬうちにその胸の中の想いを爆発させていく。
 「そんな力を持ちながら、なぜ有効に――人のために使わない、国のために使わない。
 君は異能を持て余している、僕だったら・・・」

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