《MUMEI》 「俺がかなたでね、こっちがはるちゃん、はるかって言うんだよ」 「かなた君にはるかちゃん…ぁ…じゃなくって君か、ゴメンねι」 「いいよ…別に、よく言われるから」 かなた君という方はなんとなく”哉太”とか”金太”みたいな男の子の名前っぽいのだけど。 はるかという名前は”春香”や”遙”みたいな、いわゆる女の子の名前のようだった。 それに、かなた君が”はるちゃん”と言っていたので、ついつられて”ちゃん”と言ってしまった。 「”遙か彼方”か…おもしろい名前だね」 「うん、パパが付けたの!克哉兄ちゃはママが付けたんだけどね」 そう言うとかなた君は… 克哉さんは最初お母さんが一人で育てようと思って、お父さんに言わずに出生届を勝手に出してきたから兄弟の中でもマトモな日本名になっている事とか。 双子である小さな頃の自分達の面倒をよく見てくれた事。 克哉さんがもう一人居る小さな弟に最近は構いっきりになっている事。 日本とドイツどちらの国籍も持ってたけど最近ドイツ国籍になった事とか。 色々な話を教えてくれた。 「そうなんだ///」 「うん、克哉兄ちゃの事は話しても話し足りないぐらいだよ〜」 そう言うとかなた君は嬉しそうにニコニコしていたけど、お兄さんのはるか君は何か複雑な表情で僕の事を見つめていた。 (ぁ…やっぱり、お兄ちゃんの恋人が男だから…複雑なのかな…) かなた君は女の子の浴衣だから時間がかかりそうなんで、先にはるか君の男の子用の浴衣を着せていると、やっぱり白くて綺麗な肌がチラチラ目に入った。 (…別に僕、そんな趣味の人でも無いんだけどな///) でも目の前のはるか君は、透き通るような白い肌で、睫毛まで金色で、瞳は克哉さんとそっくりな。 まるで海のような青い色だった。 前へ |次へ |
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