《MUMEI》

(そういう人じゃなくても、コレは魅入っちゃうんじゃないかな…)

やっぱり小さくても高校生だから、男らしい特徴はなんとなく出てきつつある。

でもまだ子供っぽい可愛らしさとかがあって、子供をあやすようにギュッと抱きついてしまいたくなるくらいだった。

(ダメダメ…抱きついたらそれこそ変態さんだ…)

近くで見ると、なんとなく克哉さんに似ている所がちょっとづつあった。

鼻がスッとして高い所はもちろんそっくりだけど、目に力がある。

あっちで踊っているかなた君は優しい目をしているけど、こっちのはるか君は口を真一文字に結んでキッと一点を見つめていた。

(双子でこんなに違うのか…お父さんとお母さんが全く違うタイプの人なのかな…)

という事は、克哉さんのお父さんってこのはるか君みたいに口を真一文字に結んだ厳格なドイツ人!…ってカンジの人なのかなぁ。

(そうだったら…どうしようι)

克哉さんとこんな仲になって、しかもプロポーズまでされてしまって…謝っても謝りきれないかもしれない…。

まぁでも、どうにかなるか…きっとね…。



「コレ、持っててね」
「はい」

裾を持ってもらって長さを調整して紐を結び、男の子だからお腹にタオルを入れようと浴衣の中に手を入れた。

「ぁっ…///」
「ん///…どうしたの?」

突然、浴衣の中に手を入れられてビックリしたのか、はるか君が恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。

「ゴメンねι」
「あーっ♪はるちゃん、真っ赤になってるぅ〜♪」
「うるさいッ!」

はるか君がかなた君に腕を振り上げて怒っていたが、僕の方を見ると頬を赤くしたままその手を下におろして、恥ずかしそうに横を向いてしまっていた。

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