《MUMEI》

(可愛い…)

克哉さんはもう大人だから冷静だけど、学生の頃はこのはるか君のように恥ずかしがったりしていたのかな…。

だとしたら、その頃に会いたかったな…。

…よく考えてみたら、僕の方が3つ年下だった。


「はい出来た♪次はかなた君だね」
「うん///」

もうすでに服を脱いで準備をしていたかなた君は、浴衣をバスローブのように羽織って袖をパタパタさせながら駆け寄って来た。

「アキラさ〜ん♪」

かなた君はピョーンと飛びついてきて、可愛らしく僕にギュッと抱きついてきた。

何だか、末っ子の僕に可愛い弟が出来たみたいで嬉しくなってその少年らしい細っそりした身体をギュッと抱きしめた。


着付けをしている間、かなた君は落ち着き無く嬉しそうにソワソワしていた。

お兄ちゃんのはるか君に『落ち着け…』と諭されると、ピタッと動きが止まるが、また数分経つとソワソワしはじめた。

その様子がまるで小さな子供のようで、微笑ましく、とても可愛らしかった。



かなた君がブラジャーも付けると言い出したのにビックリしたけど、女の子の着物の着方にも胸にタオルを入れてふくよかに見せるというものもあったので何か詰め物が無いか探した。

そのブラジャーに探してきたハンドタオルを積めてあげると、そのぺったんこな胸がふっくらと女の子みたいな見た目になった。

「ほら、可愛いくなったね」
「えへへ///見てみてはるちゃん♪」
「…何してんだバカ///」

着付けの済んだはるかくんは、慣れた様子で僕らにお茶を煎れてくれていた。

「僕達もその夏祭りに行こうかな…」
「兄ちゃ達も来るの///」

今日は克哉さんもすぐに帰ると言っていたし、夏祭りだから夕方ぐらいから行った方がいいだろうし。

「克哉さんもこの前浴衣買ってたし、僕も最近浴衣買ったばっかりなんだ♪」

そう言うとクローゼットの中から自分の浴衣と克哉さんの浴衣を出して用意してみた。

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