《MUMEI》

…あ、総ちゃんだ。
隆は誰かと話をして
いる総一郎を見付け
た。

『総ちゃん!』

にこやかに笑い隆は
総一郎に駆け寄った


『隆…』

ハッとした様に顔を
跳ね上げ、隆を見る
総一郎。

『おや、君は…あぁ
“未練の君”だね?
そうだろ、東くん』

隆を見て、意味あり
げに笑い総一郎に問
い掛けた勝山。


『え、未練の君?』

意味を解さず、勝山
と総一郎を交互に見
る隆。


『…っ、勝山先輩!
隆は関係無いだろ?
、余計な事を…』

言うな、と言う意味
を込めて勝山を睨む
総一郎。

普段と違う総一郎の
態度に、隆は驚く。

…あの総ちゃんが、
こんなになるなんて
…何があったの?

『総ちゃん?』

後ろから袖を引けば
それを見た勝山が口
を挟む。

『ほら、怖い顔で睨
むから、大切な隆く
んが怯えてるよ、総
ちゃん?
そんなに睨まなくて
も言いたい事は言っ
たから、俺は退散す
るよ、東くん。じゃ
またね、隆くん。』

小馬鹿にした台詞を
言って、爽やかな笑
顔を残し勝山は去っ
た。

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