《MUMEI》
決闘? 10
マードックが言った。
「よし。そんなにやりたいなら決闘を認める」
「決闘?」
マキは蒼白になった。自分のせいでそれは困る。彼女はフランクの腕を掴んだ。
「止めて」
「大丈夫だ」
大丈夫なわけがない。皆野蛮だ。マキは、決闘に声援を送るビリーやホークを睨んだ。
レフェリーはマードックが務める。
ダスティとスタンが向かい合う。凄い睨み合い。腕が鳴る。指を鳴らす。
マキは緊迫感の中、心配顔で二人の動きを見ていた。
いきなり手四つの体勢で組み合い、押し合う。
「あれ?」マキは首をかしげた。
スタンが船の端まで押すと、マードックが止めた。
「ロープロープ。ブレイク。ワン、ツウ、スリー!」
スタンは離れぎわにダスティの顔に張り手!
「NO!」
ダスティはオーバージェスチャーでマードックに説明する。今のピンタは反則だと。
マキは力が抜けた。呆れて言葉がない。
(どこが決闘なのよ?)

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