《MUMEI》
敵の影
『ところで、坊さん
…アンタ…』

サルタンが、チラッ
とラント修道師の後
方に目をやる。

ササッと素早く物陰
に隠れる黒い影。

『なんです?』

…やはり、付けられ
てるな。狙いは、こ
の坊さん…か。


『アンタ、何を隠し
持っている?』


『え、別に、私は何
も……』

言いかけて、ふと気
付く。あ、大修道師
長様の遺言書…でも
あれは、私以外まだ
知らないはず…。

明らかに挙動不審に
なるラント修道師を
見て、サルタンは静
かに告げる。

『どうやら心当たり
あるみてぇだな。ア
ンタ付けられてるよ
さっきからずっとな
…』


『え、馬鹿な、何故
私が?』


『さあな、答えは自
分で考えな。とにか
く…今は…逃げるぞ
!』

そう言うが早いか、
サルタンはラント修
道師を肩に担いで走
り出した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫