《MUMEI》
危機一髪! 2
「危険はないのか?」アニマルが真剣な顔で聞いた。
「心配なら一緒に降りればいいだろ」
「そうする」
アニマルは船を降りた。マキは歓喜の笑顔だ。
「マキ」
アニマルが手を貸してくれる。マキは舞い上がっていた。緊迫感が緩み、唇に笑みが浮かぶ。
アニマルは両手を出すと、マキの腰を掴み、軽々と抱き上げた。
(あーん、どうしましょう?)
水着なのに抱きしめられてしまった。
ダスティはカメラを回す。
「マキ、スマイル、スマイル、Vサイン」
マキはキュートな笑顔をカメラに向けると、両手でVサイン。
「いいね、いいね。泣かしたい」
「何か言った?」
「独り言だ」
浮かれるマキの近くで、アニマルは目を光らせて周囲を警戒していた。
まるでタイガーのような鋭い眼光だ。
ホークやフランクも船から降りると、ダスティが文句を言った。
「バカだな。そんなに降りたらオランウータンは出てこないぞ」

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