《MUMEI》
危機一髪! 4
そのとき。
サラサラサラと草の音。
「ん?」
皆は耳をすました。
「マキ、船に戻れ!」アニマルが叫ぶ。
「え?」マキは瞬時には動けなかった。
四方八方から黒く日に焼けた半裸の男たちが飛び出してきた。
「キャー!」
「フォーフォー!」
「しまった!」
「賊だあ!」
あっという間にマキは捕まり、顔の前に槍を突きつけられた。
「いやあ!」
水着のまま人質にとられ、マキは生きた心地がしない。人生で味わう初めての死の恐怖だ。
「やめろ!」
「動くな!」
二十人はいる。マキは泣き顔で震えていた。
ボス格らしき男が前に出る。
「狼酋長マクダニエルだ。賊ではない」
「副酋長のアドニスだ」
アドニスと名乗った男は長い黒髪の巨漢だ。ダスティと同じくらい太っている。
ハーリーが前に出た。
「オレたちは怪しいものじゃない。その娘を返してくれ」
「ダメだ」アドニスが笑った。

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