《MUMEI》 「くそ、何でいねーんだよ…。」 「携帯も出ないね。」 「とりあえずもう一回かけるわ。」 そう言って瀧は綾乃の携帯を鳴らす。 しばらくメロディが続いた後、不意に繋がった。 「やっと出やがって!おい、テメー今どこだよ!」 そう言った瀧に帰ってきたのは、綾乃の声ではなかった。 『お久〜♪え〜、あたしは今どこかしらぁ?』 !!!!!! 瀧の体を電気が走ったかのような衝撃が走り抜けた。 「な、何で、てめぇが…。」 『さぁ?たまたま散歩してナンパしたらこの子だっただけ♪』 「お前っそいつになんかしやがったのか!?」 心底焦った声で問う瀧に、 『なんや、エライこの子気にしてんなぁ。』 電話の向こうで笑う気配がした。 前へ |次へ |
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