《MUMEI》
今は何世紀だ? 1
マキは気を失っていた。
「んんん…」
ゆっくり目を開ける。砂浜に寝ている。高い雲。青い空が眩しい。
近くには川が流れている。
彼女は口を開こうとして慌てた。猿轡が咬まされている。
「んんん!」
起き上がろうとして気づいたが、両手首は後ろでキッチリ縛られていて、両足首も布で縛られている。
「んんん!」
マキはもがいた。しかし水着は脱がされていない。裸にするチャンスはあったはず。武人の情け。いや、オランウータンの情けか。
オランウータンがマキの顔を上から覗いた。マキは生きた心地がしなかったが、同時に考えた。
(手足を縛るって、そんな器用なことができるの?)
やはり普通のオランウータンではないのか。
無表情で見られるのは怖くてたまらない。マキは弱気な目で見つめ返した。
「んんん…」
(ほどいて)

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