《MUMEI》
今は何世紀だ? 6
マキは怖かったが、無言でいると息が詰まりそうなので、聞いた。
「あなたは、帰れるの?」
オランウータンは力なく首を左右に振った。
「これからどうするの?」
「ここで暮らすしかないやろ」オランウータンは辺りを見渡した。「ここなら住めそうや」
「大丈夫?」
「話す相手もいるしな」オランウータンはマキを見た。
「え?」マキはおなかに手を当てた。「あたしは、ここで暮らすのは無理よ」
「なぜ?」
「なぜって、無理よ」
マキはアニマルの顔を浮かべた。
「もうすぐ仲間が助けに来るわ。そうしたら、あたしを解放して」
マキが小首をかしげて見せたが、オランウータンは憮然とした。
「人間らしい身勝手さだ」
「人間は、嫌い?」
「愚問だ。人間は敵や」
マキは怯んだが、頑張った。
「あたしのことも?」
オランウータンはまた遠くを見つめた。
「ここへ、何しに来た?」
「あっ…」マキは困った。

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