《MUMEI》
今は何世紀だ? 7
オランウータンは、おもむろに話し始めた。
「最近、人間に合った。ワシを見てギャーと悲鳴を上げた。今は何世紀かと聞いたら、お化けゆうて逃げて行きよった。お化けはないやろ?」
マキは唇を噛んだ。
「人間に見つかれば、すぐに捕まえに来ると思ったが、案の定早かったな」
「え?」
「おまんらは、ワシを生け捕りに来たんやろ?」
マキは激しく首を左右に振りながら言った。
「違う、違うわ。信じて」
「どの道仲間は来ない」
「来るわ」
「なぜそんなことが言いきれる?」
「あたしを見捨てるはずがないから」
マキが強気な表情でオランウータンを見すえた。
「ではもし、ワシに麻酔銃を向けたら?」
「絶対そんなことないし、あたしがそんなことさせない」
「仲間じゃなく、機動隊が来てもか?」
「え?」
「ほれみろ」
マキは不安になってきた。アイは後から行くと言っていたが、まさか…。

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