《MUMEI》
梧城との電話
「ああ、すまんすまん。」


口ではそう言いつつも、
電話越しにクック…と、笑い声が聞こえる。


「逆に優等生ぶった姿の方が動きやすいだろう?」


「一理ありますね。

でも授業……。」


そう、まともに授業を受けたことのない将貴にとって、
これは苦痛でもあった。


「そんくらい我慢しろよ。」


「う…はい…。」


「で、話したいことはそれだけか?」


「ちょっと待って下さい。」


電話を切ろうとする気配に慌てる将貴。


「もう一つあります。」


「なんだ?」


「ワイルドチルドレンの奴等、どうやら俺を狙っているみたいなんですよ。」

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