《MUMEI》
交錯
空を裂き、風となった黄金の翼が羽ばたきを止め、ゆっくり地面に下降する。


「……確かに、アイツが居やがる…。」


地面に着地すると、翼は光の粒子となり消えた。

不気味にそびえる廃墟を瀧は見上げる。


「嫌な臭いするね。」


ヘルハウンドに乗り、追い付いたミツもまた建物を見上げ眉をひそめる。


「ウマウマと誘いに乗るわけ?」


「何が狙いかわかんねぇが…、分散していくより一緒に行動する方がいいかもな。」


「了解、じゃあ行こうか。」

そうして二人が歩き出そうとした瞬間―


―グルルッ!!


ヘルハウンドが唸りをあげた。

振り替えるより先に気配を感じて二人は左右に分かれて跳んだ。


―ドカカカッ!!


さっきまで二人のいた場所に、何本もの黒い羽が突き刺さっていた。


―クワアァッ!!


激しい鳴き声をあげる大鴉が上空から睨み付けていた。

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