《MUMEI》 「明日じゃ、明日の朝、領主がお前を引き取りに来る。」 「明日!?そんな…。」 「明日じゃ、その前に一つ頼まれておくれ。」 ジャックは怪訝な顔で首を捻る。 そんなジャックを博士は嬉しそうに見つめる。 「うむ、表情も出てきた、問題ないの。いやな、儂を妻の隣に埋めておくれ。この体は人の限界を越えておる。カラクリの心臓はもう止めた。まもなく儂も動かなくなる。」 「マスター!何故そのような!」 「儂はお前を託し、そして生涯を終える。新しい主に心から使えるのじゃ。涙を知ったなら涙を流させてはいかんぞ。」 そうして博士はくわえていたパイプを机に置き、ジャックの頭を撫でると、椅子に深く腰掛け、眠るように息絶えた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |