《MUMEI》 ボールはキーパーの手によって弾かれた。 そう、弾かれたんだ。 ボールはまだ回転が残っており、 ゴール前で落ちるとは限らない。 俺はまだボール一点を見つめていた。 わざと逆回転をつけたんだ。 確率は分からないが、 少なくとも多少は勝算があるはず。 ボールは弧を描いて落ちて行く。 遅い。 まるでそこ一点だけの時間が止まったように。 ゆっくりと落ちる。 俺の予想に反して。 前へ |次へ |
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