《MUMEI》

ボールはキーパーの手によって弾かれた。


そう、弾かれたんだ。


ボールはまだ回転が残っており、
ゴール前で落ちるとは限らない。


俺はまだボール一点を見つめていた。


わざと逆回転をつけたんだ。


確率は分からないが、
少なくとも多少は勝算があるはず。


ボールは弧を描いて落ちて行く。


遅い。


まるでそこ一点だけの時間が止まったように。


ゆっくりと落ちる。












俺の予想に反して。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫