《MUMEI》 策略2ポン… 軽く音を立ててボールが落ちた。 だが…それはゴールの手前。 そのボールを相手チームのディフェンダーが、 今まさに蹴ろうとしている。 終わった………。 左コーナーからシュートを放っていた俺は、 まだその場から一歩も動かずそのまま崩れ落ちた。 後半残り3分。 もうチャンスは無い。 例えロスタイムに突入しても、 激しい攻防戦で終わるだろう。 PK戦に持ち込まれたらそれこそ勝ち目はない。 元々俺と先輩がいなかったこのチーム。 守りは屈強でよくリーグ戦では上位に食い込んでいた。 だが準決勝など、 上位に勝ち進むにつれて守りだけではPK戦で惨敗を帰するなど、 悲惨だったらしい。 PK戦は流石に先輩と俺でどうにか出来るもんじゃない。 俺はまだボールを見たまま、 絶望の二文字を背負っていた。 ダンッ その時だった。 もの凄い速さでボールが角度を変えて、 ゴールしていた。 ……何が起こったんだ? 前へ |次へ |
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