《MUMEI》

「はぁっ…はぁっ…」



「くっ…!!」



「ちっ…」



すっ…



「くそッ!!」



「ふぅ…また俺の勝ちだな。」



「…つ〜か俺、制服だし。」



「言い訳か?」



「…もっかい。」



「そう来なきゃよ。」













……………













広い敷地の一部を使い、


2人が行っていたのは1対1。


ゴールもなく、


キーパーもいないこの状況では、


どちらかが抜き、


どちらかが守るという実にシンプルな物しかできなかった。



「何か…
凄いよあの人たち…」



「どっちもそうとう上手いよね?」



「どこのチームの人だろ?」



「あれって赤高の制服じゃないっけ?」



「え〜?
今赤高試合してるはずだよ?」



「もう終わった?」



「まさか!!早すぎるよ!!」



…このクソ暑い炎天下の中でそんなことをしている2人は、


外でアップをする選手たちから注目を浴びていた。













……………













「だぁ〜クソッ!!!!!」



「悔しがんなっつの。
5回に1回俺抜けるだけでもたいしたもんだ。」



「ちっ…」



「おま…はぁ…」



思わず呆れるヤマト。



「そんなキャラでストレス溜まんね〜の?
言いたいことあんならガンガン言った方が楽だぞ?」



「ね〜よッ!!!」



「…へぇ。」



(何か弟いじめてる兄貴みたいになってきたな…


こいつマジで扱いづらい…


こっちがイライラするわ…)



絡みにくい猪狩に、


若干のイラつきを覚えるヤマト。



(やれやれ…)

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