《MUMEI》 「…そろそろ中入るか。」 「あぁ!?何で!?」 「何でって… そろそろ試合終わる頃だろ〜し、 プライベートの俺たちと違って団体行動のお前はあんま勝手してっとやべ〜だろ。」 「関係…ね〜よ…」 (ガキだな…) 猪狩の様子に頭を悩ませるヤマト。 (しょうがねぇ…) 「んじゃもうちょっと…」 もうちょっとやるか。 ヤマトがそう言うとした時だった。 「…珍しい顔合わせだな。」 突然の声に振り返る2人。 「え…」 「っ…」 「先生?」 ボソッ… 「ちっ…」 「2人とも久しぶりだな。 つか… お前らが仲良かったってのは知らなかった。」 「別に仲がいいわけじゃないすけどね。」 赤高ハンド部前顧問西野。 クロに赤高のコーチを頼んだ男だった。 「先生も見に来てたんすね。」 「無理な注文しといてそのままだったからな。 ホントはもっと顔出してやりたがったが… 立場上そうもいかなくてな。 せめて試合だけはと思って見に来てた。 昨日も見たけど、 あいつら上手くなったな。」 「あいつらはもちろん、 クロも頑張ってましたからね。 つか試合は?」 「まだやってる。 が、 勝負は決まったな。 ホントに強くなった。 黒田に頼んで正解だったみたいだな。」 「そこは俺が保証しますよ。」 「はは… 黒田に関してはお前以上の保証人はいないな。」 「かもっすね。」 「…」 ダムッ… 2人の会話に入れず、 持っていたボールで遊び始める猪狩。 チラッ… 西野は猪狩を見る。 「猪狩…」 前へ |次へ |
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