《MUMEI》

『世良、ゴメン!俺
のせいで…痛いだろ
?ソレ』

総一郎が、世良の血
を拭おうと手を伸ば
す。

『さわんなよ…』

世良が総一郎の手を
遮る様に振り払う。


『…世良?』


『こんな傷、痛くね
ぇよ、俺が痛いのは
別の場所だ!』

世良は総一郎から視
線を外さずに言葉を
続けた。


『二年だ、総一郎。
あの日、屋上で言っ
たお前の言葉を信じ
て待ったよ、俺は…

これからだって、待
つつもりだった。』


『世良…』


『でもな、自信が無
くなっちまったんだ

なぁ…総一郎?俺、
このままお前を待ち
続けてもいいのか?
凄く不安なんだ…。

今更、ただの友達に
なんて戻れないし、
恋人なんてもんじゃ
ないし…』


世良は、少し躊躇し
ながら総一郎に問い
掛けた。


『な、総一郎。お前
にとって、俺の存在
は何になるんだ?答
えてくれよ、な、総
一郎…』

世良の悲痛な訴えに
総一郎もまた苦悶の
表情を浮かべていた

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