《MUMEI》

重苦しい沈黙の後、
口を開いたのは世良
だった。


『何も言ってくれな
いんだな、総一郎…
つまり、それが答え
なんだよな。ははっ
……解ったよ、もう
…良いよ…』


自虐気味に笑い、世
良は言った。


『…っ、世良、違っ
うんだ…俺…』

総一郎が発した言葉
に首を左右に振りな
がら、世良は総一郎
から離れる。


『帰るわ、俺…バイ
バイ、総一郎。』

クルリと踵を返し、
歩き出す。


『ちょっ、世良、待
っ…』

総一郎は、呼び止め
ようとして…止めた


『馬鹿か、俺は!』


…俺が傷付けた。そ
んな俺が、どんな面
して引き止めるって
言うんだよ。


段々と小さくなって
いく、世良の後ろ姿
を見詰め呟いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫