《MUMEI》
我が家ってば
薄々 気付いてたけど

やっぱ、俺ん家、変わってるんだ

小学生の時に、そう確信した俺は、
その時から
友達とかにも、家の話しをしなくなり

家に誰かを呼ぶ事も、しなくなったんだ


中学受験をして

地元の友達と、会わなくなってからは

変な目で見られる事もなく、平穏な日々を送ってたんだ


父は、ちょっと有名な
デザイナーで
よく、海外に行ってる

一度行くと、ひと月とか帰って来ない事が、年に何度もあるんだ


だからかな

父が、海外に行く前に、旅行とか行ったりするんだけど

学校、休ませるんだよね
うちの両親は…

普通じゃないよね


………

平日の午後
那須高原に着いた

少し観光をしてから、ホテルにチェックインしたんだけど

スイートルームだった

…贅沢だよ…

そう、つぶやいた俺に


翔太、お父さんは、またしばらく海外生活なのよ

家族とゆっくりしたいの、少しぐらいの贅沢は、必要なのよ


母が、諭すように俺に言ったんだ


確かに、父は
家族をとても大切にしてる、良い父親なんだけどね…

夕食後、お風呂に入ったんだ

家族4人で…


温泉が引かれてる
スイートのジャグジーは広くて

確かに4人で入れるけど


母も、姉も、一緒なんだ…

母は、まだ、アレだけど
2ツ上の姉さんが…

目のやり場に困るよ…


普通の家族の会話をしながら
湯につかり

身体を洗う

俺には、苦痛の時間なんだ
…立つなよ…

なるべく、見ないようにしなくっちゃ

…姉さん、よく平気だよなぁ…


もう、子供じゃないのに、
小学生の時も、友達に話したら変だと言われた

家族、全員で、風呂なんか入らないって

けど、俺ん家は、ずっとそうなんだよね

旅行の時だけじゃないんだ
家でも、普通にそうなんだ
時間が合えば、一緒に入浴するんだよね

俺が入ってても、母さん入って来る時あるし

姉さんも、普通に俺の前で着替えとかしてるんだ

だから、俺、深夜に風呂入ったりとかしてたんだけど…

…俺が変なのかな?

姉さんとはいえ
女の裸

母さんだって…


髪を洗いながら
そんな事を考えてたんだ

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