《MUMEI》

「まぁ、一応…。」
青年が苦笑いを浮かべ言った。
「一応ってなによ??」未来は苛立っている様子で聞き返した。
「まだ、君達みたいに症状がでてない。」
「ちょっと、症状なんて病気みたいに言わないでくれる??進化って言ってくれない??あと、心配しないですぐなんらかのタイプに進化できる。」
青年は眉を吊り上げた。(その進化が心配なんだょ。)
「名前はなに??」
未来が聞く。
「松下リクだけど?」
「じゃあ、リク。一緒に来て。この飛行機はもうすぐ墜落するから。」
未来は当然のように言った。
「えっ!?なんでだょ。」
「さっき、ダリル…あぁ、あのでっかいのが飛行機に穴開けたでしょ??」
未来は縁に火のついた穴を指した。
「そうか。…じゃあ、他の人は??」
「感染者だけって言われてるのょ。しょうがないじゃない。それにもし、立場が逆でもこいつらは助けてはくれない。」
そう言うと未来は唇を噛んだ。
「乗客全員を助けてくれないのなら、俺は行かない。」
リクは言った。
「自分の状況わきまえてよね。リク、あんたが嫌なら無理矢理でも連れて行くよ。あんたはまだ私達みたいな能力がないからわからないかもしれないけど、こいつらはなんど助けても無駄。自分のことしか考えないわ。助けた後は感染するから近付かないでってなるのがオチなの。空気や触っただけでは感染しないのに。」
未来は悲しげに言った。
「それでも、助け続ければいつか認められるだろ。」
「ヒーローぶってんじゃないわよ。」
未来の目が急に鋭くなった。そして、リクに手をかざすとなんと、リクが浮き出した。
未来がダリルの所へ向かうとリクも仰向けで浮きながら未来に引っ張られていく。
「くそ、身動きが取れない。」
リクは身動きが取れないながらも必死にジタバタ抵抗している。
「ダリル、OKよ。」未来が手で合図しながら言った。
「おいおい、随分乱暴なやり方だな。」
ダリルが笑っている。「仕方ないのょ、こいつ飛行機の乗客全員助けるって言うんだから。そっちは片付いた??」
「あぁ、ちょうど今終わった。」
そう言うダリルの右手にはまだ残り火がついていた。
「じゃあ、行きましょ。」未来はもう戻ろうとなにやら準備している。
「ちょっと待って。なんか、寒くないか??」ダリルは両肩に手をあて身震いした。

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