《MUMEI》
メガバトル 9
ダスティは軽快なフットワークでオランウータンの周りを回る。
オランウータンは無表情でダスティの動きを目で追う。
ダスティが左ジャブ。左ジャブ。両手をクルクル回して右ストレート!
撹乱戦法にオランウータンは怯んだ。
「フォー!」
調子に乗るダスティは再びステップを踏みながら左ジャブ。また左ジャブ。両手をクルクル回して前頭部にエルボーバット!
効いた。オランウータンが膝をつく。ダスティはチャンスとばかりオランウータンの頭を両脚に挟み、腰に両手を回して持ち上げた。
オランウータンが逆さまにされた。マキが目を見開く。
「落とせ」フランクが言った。
ダスティは落とさない。いきなり方向を変えたかと思うと、オランウータンを逆さまに抱えたまま、また方向を変える。
「何をしている」
フランクが不審に思うと、ホークが笑顔で説明した。
「ダスティにとってここはマジソンスクエアガーデンだ。つまり四方の観客にパイルドライバーを見せてるんだ」
「バカか?」
ダスティがオランウータンを抱えたまま飛んだ。ジャンピングパイルドライバー!
マキが目を閉じる。
オランウータンは脳天から地面に叩きつけられ、完全にダウン。
ダスティが凄い踊り。激しいダンス。
「ダスティ!」
フランクが怒るがダスティはダンスをやめない。踊りながら助走をつけると高々と飛んだ。オランウータンの胸元めがけてジャンピングエルボードロップ…よけられた。
「NO!」
肘を抱えてうずくまるダスティに、オランウータンが一撃必殺!
「がっ…」
終わった。
無言で首を振るアニマルの隣で、ホークが呟いた。
「学習能力はカラス以下だな」

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