《MUMEI》
報復
「ぐえ!!」


将貴の拳が、相手のみぞおちにクリーンヒットする。


相手は堪らず、
悲痛な声を上げてその場に蹲(ウズクマ)った。


「もう一丁!」


将貴はニヤリと笑いながら、
隣りの男に回し蹴りをかます。


「ぐはぁ!」


相手は数メートルほど飛ばされ、
顔から地面にめり込んだ。


将貴は満足げに微笑むと、
今度は残りの男を見た。


「ひ!!

か、勘弁してください!

ごめんなさいごめんなさい!」


「そんなに殴られたくないか?」


「は、はい!」


「ふーん…ならいいだろう。」


将貴は男の肩に手を置いた。


そして真っ青な顔に自分の顔を近付ける。


「勝木先輩とやらに伝えとけ。

報復に行くとな。」


男の顔から血の気が失せる。


「分かっているな?

こっちはお前らみたく、
昨日今日出来た即席チームじゃねぇんだ。」


相手の耳に顔を近付けて、
あのドスの効いた低い声を発する。


「下手に足掻かない方が身のためだぜ?

場合によっちゃあ、死人が出るからな。」

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