《MUMEI》

父さんが居ると、家は賑やかだな

俺、だいぶオープンになってきたと
自分でも思う

けど、姉さんとお風呂に入るのは避けてたんだ


夏休みに入る少し前

また父さんが海外に行く事になったんだ

急な話しだった
仕事の都合だから仕方ないけど

恒例の家族旅行は行けない
俺、学校の試験と重なっちゃってたし

姉さんは、試験終わってたけど

だから、成田空港近くのホテルに一泊しようって話しになったんだけど

俺…断ったんだ

翔太 「3人で行って来てよ 、一日ぐらい、俺、一人 で平気だよ」

そう言ったんだけど
家族4人揃ってなきゃ意味がないって

だから、今回は旅行無しになったんだ


翔太 「ごめんね…俺のせい で」

母 「仕方ないわよ」
「試験じゃしょうがないわ 、お父さんが帰って来た ら、何処か行きましょう ね」

……

父さんが、海外に行く日

俺、試験だったから見送りにも行かなかったんだ

母さんだけが成田空港まで行ったんだ


帰宅した俺を、姉さんが待ってた

姉 「翔太、話しがあるの」

姉さん、真剣な顔して俺に言ったんだ


リビングのソファーに腰掛けた俺

翔太 「何?話しって」

姉 「…お父さん、淋しそう だったよ…」

翔太 「…」

姉 「翔太の学力なら、試験 前だからって、慌てなく ても大丈夫でしょ?」

「…私と、お風呂入るの避 けるため?」

翔太 「考えすぎだよ姉さん …」

姉 「…本音で話そうよ…」

翔太 「……」

確かにそれも有るんだけどさ

姉さん、何で怒ってるんだろ?


翔太 「姉さんと、風呂入る の避けてるのは事実だよ」
「けど、旅行の件は別だよ 、一泊なんかじゃ、父さ ん疲れちゃうだろ」

「海外で病気や事故なんて 困るしね」

「父さんの事思えばこそだ よ」

姉 「そう、そうよね」
「ごめんなさい、勘繰って ……」

「けど、お風呂避けてるの はホントなんだね」

翔太 「…うん」

姉 「…何で?」

翔太 「…やらしい目でみち ゃうから」

姉 「そんなの平気だよ」
「お父さんだって、たまに はあるよ…ちょっとやら しいなぁって時…」

翔太 「…そうなの?」

姉 「…たぶん…」
「流石に聞けないけど、そ う、感じる事もあるよ」

「視線とか…」

翔太 「…父さんは、立たな いでしょ?」

「俺、ムリ、」

「母さんも、何も言わない けど、姉さんが痴漢にあ った時みたいになったら …」

姉 「話してないよ、それは …」

翔太 「えっ?」

姉 「生理現象だから、別に 、話す事じゃないし」

「翔太、嫌でしょ、そんな 事、私が話したら」

翔太 「…」

俺、てっきり、姉さん話してるんだって思ってた


姉 「オープンな家庭だけど ね、全部が全部、話すの は違うよ」

姉さんの言葉に

姉さんは、自分なりに考えてるんだなって思った

考えて、答えを見付けてるから
堂々としてるんだなって

俺、今だに母さんの裸見ると、とまどっちゃうし…

……

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