《MUMEI》

翔太 「…姉さん、聞いても いい?」

姉 「うん、何?」

翔太 「父さんや母さんには 話さないって、約束して 欲しいんだけど…」

姉 「…うん、わかった」
「約束する」

「私も翔太に聞きたい事あ るの、…翔太も内証にし てね」

翔太 「うん…」


姉 「なぁに?私に聞きたい 事って」

翔太 「う、うん…」

「姉さんは、答え見付けて るんだよね?」

「一緒にお風呂に入る事と か、オープンな会話とか」
姉 「答え?…」

翔太 「うん…俺、母さんの 身体見ても、……なっち ゃうし」
「姉さんの見ちゃったら」 「一緒に通学出来ないよ」

「混む日は混むじゃん、電 車…」

姉 「また、立っちゃう?」

翔太 「えっ…あっ……」
「…自信、無いよ…」

姉 「裸見られるのは」
「今は平気かなぁ」

「前は、嫌だって思った時 期あったけどね」

「色んな話し出来るし」

「我が家だけの事かもしれ ないけど、今は、良いか なって思ってるよ」

翔太 「うん、俺も、それは わかるよ」

「けど、やらしい目で姉さ んを見たら…」

姉 「いいわよ」
「別に裸ぐらい」

「他人じゃないんだし」
「立っちゃったって、生理 現象でしょ?」

「私は気にしないよ」

翔太 「俺が気にするの!」

姉 「…」

翔太 「母さんにも言われた けど」
「勝手に見るのは構わない けど、見せては違うって」
「それって、やらしさを向 けるなって事じゃん」

「俺はムリ、」

「ムリなんだょ…」

姉 「…」
「私も見てるよ」

「翔太の…」

「少しおっきくなったのと か見てるし」

「翔太、隠したり湯舟に入 ったりしてるけど」
「しっかり見てるよ」

「やっぱ、興味はあるもん 、翔太と同じだよ」

翔太 「……」

姉 「私はね、免疫っていう か、…」

「前は、男の人が怖かっ たんだけど」

「今は、怖くなくなったか な…」

「その分、気をつけてるっ てのもあるけどね」

「レイプとか、されたら嫌 だしね」

翔太 「レ、レイプ?」

姉 「女の子は、そういう事 、考えちゃうんだよ」
「良い人ばかりじゃないも ん」

「痴漢が居るんだからさ」

「もし、そんな人と二人っ きりになったら…」

「…でしょ?」

「大袈裟って思うかもしれ ないけど、女子はみんな 気をつけてるよ」

そうかもしれない

俺、そう思った

そっか、我が家の性教育なんだな

けど…

やっぱ、姉さんとは、お風呂はムリだな

正直、立っちゃったトコ、見られたくないよ

姉さんにも、父さんにも、
母さんには、一度、見られてるけどさ…


姉 「私の質問、いい?」

翔太 「えっ、あっ、うん、 何?」

姉 「うん、」
「聞きにくいんだけどね」

その時だった

母 「ただいま」

母さんが帰って来たんだ


姉 「また、今度ね」

翔太 「うん…」


姉さん、何、聞きたかったんだろ?

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