《MUMEI》

「…これが…鬼ッ!?」


小さい頃に読んでもらった童話や絵本に出てくるもっともポピュラーな悪役妖怪…『鬼』






「…まぁ、ヒトクチに鬼と言うても、様々な種族がおるんじゃけどな。こいつは、どっかの使い走りのクソ餓鬼じゃ」





そう言うとゴローさんは、ツカツカと鬼に歩み寄り、その藁のような髪をわしづかみにした…


「おい、クソ餓鬼。そろそろ、白状した方が身のためじゃぞ?」


鬼は、今にも食らいつきそうな眼光をゴローさんに向けている


「…ほぅ、まだ元気があるじゃないか。そんなに答えたくないなら、『黒』を呼んでやろうか?」




…『黒』?


なんの事だろう?


だが、この疑問は、たいした疑問には、ならなかった…


鬼の鋭い眼から、消えた反抗の光り

そして小刻みに震え始める体…



おそらく『黒』とは
とてつもなく恐ろしい何かだろう…


僕は、それ以上知りたくなかった…

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