《MUMEI》

「…いよいよやべぇのが出てきたな。」



「ま、今までの相手とは全然違うね。


練習会で勝った相手とはいえあれは30分ゲームだし。


そもそも向こうはベストメンバーじゃなかった。


でもま…」



「ん?」



「集めた情報は多いよ。」



「そりゃあな。」



「市民体・練習会・昨日・そして今のこの試合。」



「突破口は?」



「突破口…とは言えないかもしれないけど、
打てる手は考えてきた。」



「へぇ…」



「美紀と佑香ちゃん。


2人がかなり手伝ってくれたからね。


総合的に見りゃ実力は向こうだけど、


格下には格下の戦い方ってもんがあるわけよ。


わかる?」



「さぁ?
俺、俺より上手い奴なんて見たことね〜し。」



「…ヤマに聞いたのが間違いだった。」



「くはははは!!
カッコつけた癖にカッコ悪くなっちまったな!!」



「もうッ!!黙れ!!
恭介の癖にでしゃばんなよッ!!」



「癖にって…」



「まず対策は見えてんだな?」



「だからそこまで自信持って言えるようなもんじゃないって!!


試してみないことにはなんとも言えない。


まぁ奇策なんてのは大抵そんなもんだけどね。」



「ふ〜ん…」



(『奇策』…はあるのか。)

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