《MUMEI》
絶体絶命 5
自然にとぼけようとするマキだが、ホークの鋭い詰問は続く。
「マキ。自分から言わなかったのか。助けてって」
「無理よ。あたし、猿轡されてたんだもん」
「人間様が猿に猿轡咬まされてどうする?」
笑うホークを、マキは立ち止まって睨んだ。
「優しくない!」
「オレはほかの連中と違って甘くないぜ」
ホークに言われ、マキは仕方なく歩いた。道には小枝が多く転がっている。マキは素足で踏まないように気をつけた。
山道での出血は命に関わる。
そのとき。
前を歩くホークが消えた。
「え?」
落とし穴だ。ホークは3メートル下の穴に落ちていた。
「ホーク!」
叫んだが返事はない。ホークは気を失っていた。
「ホーク!」
そこへ四方八方から半裸の男たちが出てきた。
「あっ!」
マキは逃げようとしたがすぐに捕まってしまった。
「放して」
「静かにしろ」
あとからゆっくりと巨漢が歩いて来る。アドニスだ。
「また会えたなお嬢ちゃん。嬉しいぜ」
マキは水着。さすがに足がすくんだ。

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