《MUMEI》
絶体絶命 6
マキは内心ドキドキしながらも、アドニスを見すえた。
「かわいい。名前は? 嘘言ったら裸にしちゃうぞ」
たまらない恐怖。マキは身構えた。
「名前は?」
「…マキ」
「アドニス様。男はどうします?」
「男?」アドニスは面倒くさそうに答えた。「男になんか興味はない。殺せ」
「はい」
一斉に槍が上がったのを見て、マキは叫んだ。
「やめて!」
アドニスは制止すると、笑顔でマキに言う。
「自分の心配をしろ、マキ」
「お願いです。その人は殺さないでください」
「恋人か?」
「違います。命の恩人です。その人を殺したら、あたしも舌を噛みます」
「待て待て、早まるな」アドニスは両手を出した。「わかった男は殺さない」
「ありがとうございます」
「礼を言うのはまだ早いぞマキ。マキの頼みを一つ聞いてあげたんだ。俺様の言うことも一つだけ聞くっていうのはどうだ?」
そんな約束はできるわけがない。マキは唇を結ぶと、アドニスを睨んだ。
「何だその目は?」アドニスが斧を出す。
「あっ!」
マキは身じろぎした。アドニスの危ない笑顔。斧はマキの股間に当てられた。
「やめて…」

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