《MUMEI》

……………













観客席。


ワーワーッ!!!


「参加校が少ないとはいえ準決まで来ると女子の試合も盛り上がるな。」


ワーワーッ!!


「うぅ…
俺こんな雰囲気苦手だ…」


ワーワーッ!!


「おっつ。
意外に小心者なんだなモジャ。」


ワーワーッ!!


「俺も緊張する…」


ワーワーッ!!


「健也も?
お前らさっきは全校応援喜んでたじゃん。」


ワーワーッ!!


「いやそうだけどさ…」


ワーワーッ!!


「な…?
オールコートでこんな観客いるってなると…」


ワーワーッ!!


「そうそう。
俺たち井川たちほど場数踏んでないからな…」


ワーワーッ!!


「…練習量はさほど変わんないだろ。


いやむしろ自主練の時間はお前らの方が多かった。


練習量は嘘つかね〜。


ここでスタメンになったんだから堂々としてろ。」


ワーワーッ!!


「…いがわ〜ッ!!」


ワーワーッ!!


「井川がカッコよく見えるよ〜ッ!!」


ワーワーッ!!


「どういう意味だよ…」


ワーワーッ!!


「お前らそろそろアップ始めんぞ。」


ワーワーッ!!


「どこでですか?」


ワーワーッ!!


「外。」


ワーワーッ!!


「暑いのやだよ〜ッ!!」


ワーワーッ!!


「ぶーたれんな。
場所ねえんだからしょうがねえだろ。」


ワーワーッ!!


「へ〜い。」


ワーワーッ!!


「つか早くねアップ?」


ワーワーッ!!


「ハーフタイム入ったら中でできるけどお前ら時間空いたから早めに始める。


外は15分程度だ。


10分前になったら着替えとテーピング。


ハーフの練習終わったらユニに着替えて必要な奴はテーピングも巻き直せ。


それからミーティングだ。」


ワーワーッ!!


「やれやれ…
忙しくなってきたな…」


ワーワーッ!!


「観客席から応援よりはよっぽどマシだろ?


これがレギュラーの宿命ってもんよ。


まぁ…


俺も暑いのやだけど。」


ワーワーッ!!


「んじゃま…行くか。」

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