《MUMEI》
悪い奴
夜、姉さんが部屋に来たんだ

姉 「翔太、もう、いい?」 「返して…」

翔太 「危ないよ、脱ぎっぱ なしなんて」

姉さんの下着を
クローゼットの中の学生服のポケットから出したんだ
姉 「そんなトコに隠してた んだ」

翔太 「もういい?って何? 」

姉 「何かに使ったのかなぁ って…」

翔太 「何かって何だよ」

姉 「……」

翔太 「んな事しないよ!」

姉 「そっかぁ」

姉さん、笑ってた

翔太 「約束だからね」
「見せてよ」

姉 「今度ね」

姉さん、下着を持って
部屋から出てったんだ

翔太 「…」

何だよ…下着に興味なんか無いよ

…姉さん

俺が姉さんの下着で、そんな事したら
嫌じゃないのかなぁ?

……

その後何日経っても
姉さん、はぐらかして
見せてくれなかった

ズルイよ

……

お盆休みが終わる頃

母さんが電話で何か話してた

珍しい、母さんの強い口調
母 「いいかげんにして下さ い」
「当家は、そちら様とは縁 を切ってます!」

母さんが電話を終えた

翔太 「何事?」

母 「…何でもないわ」

翔太 「…」

何でも無い感じじゃなかったよなぁ

けど、聞けなかった

……

翌日から、夏期講習が、また、始まったんだ

夕方帰宅した俺

玄関の前に
見知らぬ車が停まってた

玄関先に誰か居る

あれは、たしか…

父さんが、縁を切った親戚の伯父さんだよなぁ

伯父 「わからん人だね」
「昔の事をいつまでも」

母 「お帰り下さい!」

伯父 「頼むよ、他にあてが 無いんだ」

母 「主人と話して下さい」

伯父 「だから呼べと言って るだろう!」

母さんに、怒鳴ってる!

翔太 「何、騒いでるの」

母 「翔太…」
「部屋に行ってなさい」

翔太 「何、母さんに怒鳴っ てんだよ!」

伯父 「翔太か…」
「大きくなったなぁ」

「なぁ、翔太、お父さんを 呼んでくれないかなぁ?」
「伯父さん、困っててね」
「お父さんに急用があるん だ」

母 「お引き取り下さい!」

伯父 「…」

翔太 「帰ってよ」

伯父 「何とか電話だけでも …」

母 「お帰り下さい」
「二度と、来ないで下さい 」

伯父 「そうかい」
「私に死ねと言うんだな! 」

母 「とっくに、縁は切れて ます」

伯父 「ちっ、そうか」
「退け!」

俺を突き飛ばすようにして
伯父が帰って行ったんだ


翔太 「…大丈夫?母さん」

母 「えぇ、大丈夫よ」

「翔太、綾奈を駅まで迎え に行ってちょうだい」

翔太 「わかった」
「母さん、父さんに電話し て」

「それと、戸締まりしてね 、俺、鍵持ってるから」

母さんの表情から

ただ事じゃないと感じたんだ

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