《MUMEI》

「つかさ?
お前全中出てるってホント?」



「あ…はい…
一応…2回戦負けすけど。」



「マジか!?すげ〜なお前!!」



「いや…そんな…」



「…何でウチ?」



「え?」



「全中出てんなら聖龍とかからも声かかっただろ?


ウチもこの地区ではまずまず強豪扱いされてっけどさ。


去年?今年?


まず前回の高総体ベスト8止まりだし。


…赤高に負けたかんな。


普通そんなウチより聖龍取るだろ。


お前の状況なら。」



「…聖龍からは声かかりましたよ。」



「だろ?じゃあ何で…」



「好き…だから…?」



「何で疑問系?
理由もよくわかんね〜し。」



「俺…その試合…見たんす。」



「その試合?」



「赤高との…試合…」



「あぁ…


いやいやッ!!


納得できね〜わッ!!


だったら赤高だろ!!


ウチ負けたんだぞ?」



「わかってます…


赤高の選手たちも…


めちゃめちゃ凄かったです…


でも…何か…


海南の方が俺好みのプレーだったっていうか…


まぁ…


学校の練習環境とか…


そういうのも見たんすけど…


俺は…


このチームの…


海南のハンドが好きだから…」



「くはは…」



「な…何すか?」



「いや…
夢見てんな〜って。」



「ゆ…夢でも何でも!!


俺はこの海南のハンドが好きなんす!!


それだけす!!」



「ふっ…
やっ…とどもり抜けてきたな。」



「え?あ…」



「それでいんだよ。」



「…はいッ!!」

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