《MUMEI》

「日本語で言うのは恥ずかしいかもな…イッヒリーベンズィー(I love you)…ドイツ語でも恥ずかしいな ///」

そんな事を真剣な顔で言っている克哉さんを見て、僕も少しつられて恥ずかしくなってしまった。

外国語だったんだけど…理解しようと思えば、意味は通じるものなんだな、ドイツ語だったけど伝えたい意味は伝わってきた。

克哉さんににこーっと笑いかけると、克哉さんもにっこりと笑いかけてくれた。

笑顔は世界共通で一番通じるジェスチャー、と、どこかで読んだ事があるから、試してみたんだけどやっぱり言う通りバッチリ通じてた。

「あの…」
「ん?」

その相手の笑顔を見上げると、カラカラとジンジャエールの中の氷を揺らしながら、克哉さんに勇気を出して聞いてみる事にした。

「あの、それって…プロポーズですか?」

= = = = = = = = = = = = = = = =

彼から「プロポーズですか?」と聞かれ。

迷わず「そう、受け取ってもらいたい」と答えた。

「…ホント…ですか///」
「あぁ、いきなり言われたんで指輪とか何も用意してないんだけど…」

まさか今日そんな事を聞かれるとは思わなかったので用意はしていなかったが、いつか正式にプロポーズして渡したいとは思っていた。

「うっ…ぅ///」

俺からの返事を聞くやいなや、多少酔っぱらっていたアキラは感極まって目を潤ませ、そのうち綺麗な瞳から大粒の涙を溢れ出させていた。

「アキラ…」
「ごめん…なさい…僕…嬉しいのに…///」


マナーの方は気にしなくて大丈夫だという事を伝えた。

日本人の彼がそんなに心配する事も無いだろうし、むしろ気にしなければいけないのは自分の方かもしれないくらいだった。

「言葉なんて一週間もすれば喋れるようになるらしいぞ…テレビで言ってただけだけどな」
「うぅ……克哉さんはどうやって日本語覚えたんですか?」

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