《MUMEI》

どうやって覚えた、そんな事を言われて改めて考えてみてもどこでどうやって覚えたかも思い出せなかった。

「親がどっちも使っていたし、高校は日本の学校に通っていたからね、家と外でどちらも使い分けていたよ」
「混乱とか、しなかったんですか?」

混乱…か。

私は日本で生まれ、小学生ぐらいの頃に父親の故郷であるドイツに帰った。

そこで弟達が生まれ、今の弟達と同じくらいの年齢になった頃に私だけ日本に渡り、全寮制の男子校に入学した。

そんな日本とドイツを行き来する環境だったから、ドイツ語か日本語かなんて考えた事も無かった。

しかし、小学生の頃父親の国ドイツに戻った時、最初は言い回しなどが上手く出て来なかった事はあった、かもしれない。

日本語は母親の喋っていた言葉を見よう見まねで覚えたから、もしかしたら多少女性っぽい日本語を使っているかもしれない…。

そう伝えたら「十分格好いい日本語ですよ」と、アキラはそう言って笑いかけてくれていた。




「どうぞ」

ホテルの部屋のドアを開けると、アキラをエスコートして部屋に招き入れた。

「えへへ…それって前は俺の役割だったのに」
「今は俺がエスコートさせてもらうよ」

そう言ってアキラの手を引きながら後ろでドアがロックしたのを確認すると、背後からアキラに抱きついた。

「ぅ…わぁ!」
「アキラ…本当はキミを見つけたその場でこうしたかったんだ///」
「あ、ちょっ…克哉さんっ///」

花屋でアキラを見つけた時、その場で抱きしめてキスして、身体を撫で廻して彼の名前を何度も呼んで愛してると叫びたかった…。

「Ich lieben アキラ…(愛してるアキラ)」
「な…うわっ///」

アキラの唇を奪おうとして腕を掴んでこちらに振り向かせようとしたら、丁度アキラと俺の足が絡み合い、もつれるように床に倒れ込んでしまった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫