《MUMEI》
生贄 5
男たちはしつこく追いかけて来る。アイは生きた心地がしなかった。
ひたすら逃げた。汗びっしょりだ。
「ヒューヒュー!」
狼やハイエナに追われる獲物の気分。胸のドキドキが止まらない。
「逃がすな!」
前からも来た。後ろからも来る。アイは諦めずに横へ飛んで走ったが足がもつれた。
「キャア!」
前のめりに倒れてしまった。すぐに囲まれた。アイは両手を出すと早口に言った。
「抵抗しないから乱暴はやめて!」
このセリフに皆は動きが止まった。
「よーし。じゃあ立て」
アイは息を弾ませ、ゆっくり立ち上がった。
「逃げたり、ヘタな真似したらその場で素っ裸にするぞ」
「やめて、そういうことは」
ムッとして言い返したが、腕を掴まれた。
「来い」
アイは唇を噛み、俯いた。
(絶対まずい…)

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