《MUMEI》
アリスとジャック
「もうイヤなの!」


少女の怒る声が部屋に響く。


「しかしな、アリスや、もう今月に入って二人も召使いを変えておるのだ、そろそろワガママをいわず…」

オロオロと娘を宥めるのはドジョウの様なちょび髭を生やしたこの地の領主だ。

「イ、ヤ、絶ー対っイヤ!!」

激しく首を振る少女は、愛らしい顔をしていた。
髪は蜂蜜色、目はサファイヤの様な青、かわいいリボンでくくられたツインテールは途中からはフワリとしたカールが着いている。


「イ、ヤ!」


しかしながらフリルのついたピンクのドレスの少女はガンとして引かない。


「ふむぅ〜。」


困り顔の領主は頭を捻っていたが、ススッと召使いが寄ってきて何か耳打ちすると、笑顔になり娘に振り向いた。


「おぉ、アリスや本当は明日のお前の七つの誕生パーティーで披露する予定だったんだが…プレゼントがあるぞ〜。」


「プレゼント?」


「そうだ、うむうむ新しい召使いが見つかるまで、彼と遊んでいなさい。」


得意気に髭を撫でながら、領主は召使いに手招きをした。

そうすると、召使いは何か台車にのせられた白い布が被せられたものを持ってきた。

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