《MUMEI》

「な、何?」


怪訝そうな顔をするアリスの前で、唐突に布がはねあがった。


「キャ!?」


驚くアリスの目の前で台車の上で立ち上がったそれは、左手を前に右手を腰に回し、深々と頭を下げるピエロのお辞儀をした。


「ピエロ?」


「いいや、違うよー、彼はね、《マリオネット》だよ。」


領主は胸を張り髭を撫でた。


「《マリオネット》…。」


なおも訝しそうな顔をしていると、不意にそれはジャンプし、アリスの目の前に着地した。


驚いてへたりこむアリスに目線を合わせるようにしゃがんだそれは、しばらくアリスをしげしげ見ると、

ニッコリと笑顔を浮かべた。


「かぁわいいなぁ〜、僕ラッキーだ♪今日からよろしくネ、マイマスター。」


そしてニッコリ笑うと右手を差し出してきた。


「はい、握手♪」


ついその手を取り、握手を返してアリスは驚いた。


「あなた、本当に人形なの?手も人みたいよ?」


「僕は人形だよ、ほら、暖かくないだろ?」


言われて気づく。確かに温度は低い。


「じゃあ改めてよろしく、マスター、僕はジャック。」


「ア、アリスよ。」


ぎこちなく交わす握手、これが二人の出会いになった。

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