《MUMEI》
交流会逆鬼ごっこ27
「待て」


誰が待つかよ


「神澤が何故来ないのか」

「え?」


振り返ると


暁は、さっきのまま、俺に背を向けた状態で


全く動いていなかった


…止まっても、いいか


ある程度の距離は出来てるし


「それに、何故森に俺とお前しかいないのか」


確かにスタートしてから今まで、森で暁以外のD組の生徒に一度も会っていない


最初は、不良が普段森に来ないからだって思った


それに、俺が聖と森に何度か来ている事も知らねーだろーし


…けど


違うな、これは


振り返った暁の笑顔を見て、確信した


「説明、してくれるのか?」

「気分がいいからな」


本当に機嫌よさそーだな


初めて会った時より、表情あるし


「予想以上に、お前は面白い」

「どーも。で? 残り時間少ないけど、本当に説明してくれるのか?」

「条件付きでな」

「条件?」

「残り一分になったら、俺と本気でやり合え」

「ケンカしろって事か?」


頷く暁


それは


鬼に暴力を振るうのも


鬼が暴力を振るうのも


明らかに


「…ルール、違反だ」

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