《MUMEI》
生贄 10
アドニスはアイに恩を売る。
「許して欲しいか?」
「許してください」つぶらな瞳で見つめる。
「よーし。じゃあ許してやろう。俺って優しいだろ?」
「優しいです」アイは即答するしかなかった。
傍らにいた子分たちが、興奮しながら言う。
「アドニス様。裸にしないんですか?」
「見たいか?」アドニスが笑う。
「見たいです。二人とも」
二人ともと言われ、マキは身構えた。
「酋長は硬派だからな。酋長の許しを得てからだ」
(酋長?)
アイが目を開く。
(まさか酋長ってオランウータン?)
そこへマクダニエルが子分数人と帰って来た。
「あ、酋長」
アイはマクダニエルを見てガッカリした。
(人間だったか…)
マクダニエルはマキとアイを見て渋い顔をした。
「アドニス。何してる?」
「生贄です」
「あまり悪さするな」
「裸にしてもいいですか?」
マクダニエルは二人を見る。ビキニ姿はすでに半裸だ。
「あまりムゴいことはやめろよ」
「ヒューヒュー!」
「許しを得たぞ!」
マキとアイは身じろぎした。今度こそ全裸にされてしまう。
「おい。待て待て。マキは俺様の女だ。手出すな」とアドニスが近づいて来る。
それを聞いたほかの男たちは、アイに群がり水着を掴んだ。
「キャー! やめて!」
アドニスはマキのビキニの紐に手をかけた。
「マキ。素っ裸にするぞ。観念しろ」
「ヤです。絶対ヤです」
絶望的な状況だが、マキは諦めない。激しく抵抗する。しかしアドニスは容赦なく水着を剥がしにかかった。
「待って、待って!」

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