《MUMEI》

「ククッ…面白い小僧じゃのう。その返しは、予想外じゃ」


ケラケラ笑うゴローさん
その姿は
僕の恐怖心を和らげた



「…だが、的外れという訳でもない」


「−えッ?」


「闇を好む妖の中には、人間の闇社会に溶け込むもいる。利害関係の一致した、ある種の共存じゃな…」


「…」


「…表立って悪事を働けば、ワシらのような業者が動くが、闇社会が生み出した失踪者ならば、幾ら喰らおうが、足がつかぬ…」


「そ、そんなッ」


「その甘い汁を啜るために、殺しなどを請け負う妖怪もおる。地下の鬼が例じゃて…」




やはり、僕なんかが
遊び半分で踏み込んでいい世界ではない…


断ろう


決めた…


断ろう


その単語だけが脳の中で
グルグル回っていた

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