《MUMEI》 …………… コート中央に整列する両チームの選手たち。 …………… 「お願いしますッ!!!!!!!」 「お願いしますッ!!!!!!!」 …………… ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!! …………… 挨拶を済ませ、 スタメン以外の選手たちはベンチに戻る。 …………… 海南ベンチ。 ドカッ!! 「何だ久司? 何ふてくされてんだ?」 「別に何でもないすッ!!」 「はぁ?」 (早く来い…出番…早く!!) …………… 県営武道館コート。 早くも大歓声に包まれる会場であったが、 試合前に選手たちが見せていた緊張感は見えなくなっていた。 両チームの選手たちの落ち着く様子からは緊張よりも集中力が伺え、 むしろ試合を観戦する者たちの方が緊張しているくらいであった。 両チームのスタメンは自軍コート(自分たちのゴール側)におり、 キャプテンである二ノ宮と千葉のコイントスの結果を待った。 …………… コート中央。 ピーンッ… 「表。」 「裏。」 審判の手の甲がめくれる。 コインは表。 「…先行で。」 先行は海南。 二ノ宮に試合球が渡され、 二ノ宮はボールの感触を確かめると自軍の選手たちにボールを投げる。 それと同時にコート中央には海南の選手たちが集まる。 「でかした千葉ッ!!」 ※未来。 二ノ宮は自軍コートに向かう。 その途中。 「おい。」 「?」 「抜いたら一瞬で決めるからな?」 コート中央に立つ千葉が二ノ宮にそう言った。 「…お前らがそう簡単な相手とは思ってね〜よ。」 「こらキミたち!! 始めるよ!! 私語は慎みなさい!!」 審判が割って入り、 二ノ宮はおとなしく自軍コートへ。 千葉も自分の位置へとつく。 (正確には『お前が』…かな。) チラッ… 時計を確認する審判。 準備はいいね? 審判はそんな表情で千葉を見る。 こくっ… 黙って頷く千葉。 …………… 「ピッ!!」 …………… ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!! 「始まるぞ…」 ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!! (勝てよ…千葉…) ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!! …………… 高校総体男子準決勝第一試合。 聖龍高校対海南高校。 「しゃあ勝つぞぉぉぉッ!!!」 試合開始。 前へ |次へ |
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