《MUMEI》

『ガチャ』


ドアが開いた

鍵は閉めていたが、十円玉か何かで開けたのだろう…


「失恋でもしたのか?」


小麦色に焼けた顔が
ひょいとこちらを覗いた



目だけ出してタオルケットに包まった僕を見て、ニカッと白い歯を見せた



「ただでさえクソ暑い時に、クソ暑い格好しやがって…」


貴則は、ずかずかと近づいてきて僕からタオルケットを勢いよく剥ぎ取った…


相変わらずデリカシーの欠如した奴だ…

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