《MUMEI》

僕は、耳を疑った

…薄々、気付いていた?



僕の話に便乗して嘘をついているわけではないだろう…


貴則は、そういう器用な事は出来ない…

なぜなら、空気が読めないから…


「…前々から、おかしいとは思ってたけどな。オマエの話を聞いて全部、繋がった感じだ。ほら、俺のバイト先って特殊じゃん」



貴則のバイト先は、親戚が経営している探偵事務所だ…

社員が、30人以上いる大きな事務所だ


そこでの経験を語る事によって、クラスでの地位を築き、そして、人気者にまでのし上がった

(貴則は、守秘義務なんて気にしていない。なぜなら、空気が読めないから…)


僕は、それを、真似しようとして『妖怪屋本舗』に出会ったのだ




「…それでさぁ、ウチに来る依頼の半分以上が、極秘扱いなのよ…」


「極秘?」


「そう。一般部署と特殊部署に分かれてて、一般部署の人間には、内容が一切知らされない。調べる事も許されない。調べたら、クビ」



「…なんか、変だね」


「だろ?」


「…でも、それがなんで白鳥町がヤバいって事になるの?」



「顔色だよ」


「へっ?」


「特殊部署に来る依頼者のほとんどが、何かに怯えてるんだ。死人のような真っ青な顔してさ…。オマエもさっき、そんな顔色してたんだよ」

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