《MUMEI》 バトルロイヤル 4男たちは棒を持って近づくと、オランウータンの頭や背中を叩きまくる。オランウータンは防戦一方だ。 「あっ!」 マキは皆に言った。 「助けて。オランウータンを助けてあげて」 アイは驚いた。 「何を言ってるのマキ?」 「アニマル。助けて」 アニマルは走った。 「しょうがねえなあ」ホークも走る。 続いてフランクとスタンも突進。 「わあ、まずい!」 狼軍団は慌てて退散した。 オランウータンがゆっくり立ち上がり、アニマルと目が合う。無言で見合う。 オランウータンは目線を背後にずらした。 「オランウータン…」 「……」 マキとオランウータン。しばし二人は見つめ合ったが、オランウータンは素早く身を翻し、木から木へと移動し、姿が見えなくなった。 「オランウータン…」 輝く瞳。震える唇。マキの様子を皆不思議に感じたが、だれもそのことについて、聞く者はいなかった。 前へ |次へ |
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